遠くの相手と話すとき、電波がずっと空を飛んでいるわけではありません。電波が飛ぶのは、スマホと最寄りの基地局のあいだだけ。あとは地上の有線ネットワークを通ってデータが運ばれ、相手の近くの基地局から再び電波で届きます。この「電波の旅」と、4G・5G・6Gの違いを見ていきます。

スマホは魔法のように相手とつながりますが、実際には無線と有線をリレーしています。インターネット全体の流れは「あなたのメッセージは世界の網を渡っていた」で扱いました。ここではモバイル(携帯)通信に絞ります。

ひとことで言うと(初心者向け)

スマホの電波は、最寄りのアンテナ(基地局)までしか飛びません。そこから先は地中や電柱の光ファイバーを通って、相手の近くの基地局まで運ばれ、最後にまた電波になって相手のスマホに届きます。4G→5G→6Gは、使う電波が高い周波数になり、速くなる代わりに基地局がたくさん要ります。

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構造で言うと(投資家向け)

無線区間はアクセスのみで、コア網は有線。世代進化=高周波化(カバレッジと容量のトレードオフ)。mmWave/サブTHzはセル半径が縮みCAPEX(基地局数)が増大。6GはIMT-2030(2023)とIOWN/NTNを軸に2030年頃を想定。

電波は相手までどう届くのか

まず、電波の旅を追ってみましょう。下の図の各段階を押すと、いまどこを通っているかが分かります。

電波は相手までどう届くのか(段階をクリック)

スマホ同士は、ずっと電波で飛んでいるわけではありません。最寄りの基地局まで電波で飛ばし、あとは地上の有線網を通って、相手の近くの基地局から電波で届きます。

発信基地局コア網地上の有線網基地局着信無線有線(光ファイバー)無線

無線区間あなたのスマホが、電波で最寄りの基地局へデータを飛ばします。電波が届く範囲(セル)の中だけが無線区間です。

この図が示すこと:携帯通信で電波が飛ぶのは、スマホと最寄りの基地局の間だけです。基地局から先は地上の有線網が世界中へデータを運び、相手の近くの基地局で再び電波になります。

ポイントは、無線(電波)が使われるのは両端だけだということです。あなたのスマホ→最寄りのは電波。基地局から先はコア網(事業者の地上の有線ネットワーク)を光ファイバーで進みます。そして相手の近くの基地局まで来たら、最後にもう一度電波になって相手のスマホに届きます。移動中に別の基地局のエリアへ入ると、接続が自動で引き継がれます(ハンドオーバー)。

4G・5G・6Gは何が違うのか

世代が進むほど、使う電波の周波数が高くなり、速度と容量が上がります。ざっくり整理すると次のとおりです。

世代主な周波数速度の目安基地局1つの目安状況
4G700MHz〜3.5GHz数十〜数百Mbps数km〜十数km全国に普及
5G3.5GHz+ミリ波28GHz最大10〜20Gbps級ミリ波で約100m普及拡大中(人口カバー98.4%)
6Gサブテラヘルツ(100GHz超)100Gbps超を目標さらに小さい2030年頃を目標に研究中

日本の5G人口カバー率は2024年度末で98.4%、基地局は約26万局に達しています(総務省)。

なぜ高い周波数ほど基地局が多く要るのか

ここが直感に反するところです。周波数が高い電波ほど速い反面、直進性が強く、障害物を回り込みにくいのです。電波が障害物の裏側へ回り込む性質を回折(かいせつ)といいますが、高い周波数ほどこの回折が起きにくく、建物や壁にあっさり遮られます。

では、具体的な届く距離(セル半径)の目安はこうです。

  • 700〜900MHz(プラチナバンド=届きやすい低い電波):1基地局で数km〜十数km。屋内や地下にも回り込んで届く。
  • 3.5GHz(5Gの中心):約1km。
  • 28GHzのミリ波(高い電波):約100m。雨や酸素にも吸収されやすく、スタジアムなど一部に限定。
  • サブテラヘルツ(6G):10m未満。

つまり、速くしようと周波数を上げるほど、1つの基地局が覆える範囲は狭くなります。広いエリアを覆うには、それだけ多くの基地局を密に置く必要があるのです。これが、5G・6Gで基地局の数が増える理由です(ユピテル)(TelecomTrainer)。

6Gはいつ来るのか

6Gは、2030年頃の実用化を目標に研究が進んでいます。国際的な枠組み「IMT-2030」が2023年にまとまり、超高速・超低遅延・あらゆる場所をつなぐ通信などの方向性が示されました(具体的な性能値はまだ研究目標の段階です)。

日本では、NTTドコモが6Gのホワイトペーパーで、最大100Gbps超・5Gの100倍以上の大容量、そしてテラヘルツ波という新しい高周波数帯の開拓を掲げています。さらに、地上が届かない場所を補う「衛星との直接通信」も、次世代通信の重要なピースになりつつあります。低遅延の新しい基盤づくりは、「NTTの通信網」で触れたIOWNとも地続きです(NTTドコモ)。

この記事のまとめ

  • 電波が飛ぶのはスマホと最寄りの基地局のあいだだけ。先は地上の有線網が運び、相手の基地局で再び電波になる。
  • 4G→5G→6Gと世代が進むほど高い周波数を使い、速度と容量が上がる。
  • 高い周波数ほど直進性が強く障害物に弱いため、届く距離が短く、必要な基地局数が増える。
  • 700〜900MHzのプラチナバンドは数km、5Gミリ波は約100m、6Gサブテラヘルツは10m未満が目安。
  • 6Gは2030年頃の実用化を目標。最大100Gbps超とテラヘルツ波の開拓が掲げられている。

この記事のまとめ

  • 電波が飛ぶのはスマホと最寄りの基地局のあいだだけ。先は地上の有線網が運び、相手の基地局で再び電波になる。
  • 4G→5G→6Gと世代が進むほど高い周波数を使い、速度と容量が上がる。
  • 高い周波数ほど直進性が強く障害物に弱いため、届く距離が短く、必要な基地局数が増える。
  • 700〜900MHzのプラチナバンドは数km、5Gミリ波は約100m、6Gサブテラヘルツは10m未満が目安。
  • 6Gは2030年頃の実用化を目標。最大100Gbps超とテラヘルツ波の開拓が掲げられている。
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よくある質問(FAQ)

Q.電波はスマホから相手までずっと飛んでいるのですか?+

いいえ。電波が飛ぶのは、スマホと最寄りの基地局のあいだだけです。基地局から先は地上の有線ネットワーク(光ファイバー)を通ってデータが運ばれ、相手の近くの基地局まで来たところで、再び電波になって相手のスマホに届きます。無線→有線→無線とバトンを渡しています。

Q.4G・5G・6Gは何が違うのですか?+

大きな違いは使う電波の周波数です。世代が進むほど高い周波数を使い、速度と容量が上がります。5Gはミリ波で最大10〜20Gbps級、6Gはさらに高いサブテラヘルツ波で100Gbps超を目指します。ただし高い周波数ほど遠くに届きにくく障害物に弱いため、必要な基地局の数は増えます。

Q.なぜ高い周波数ほど基地局がたくさん必要なのですか?+

周波数が高い電波ほど直進性が強く、障害物を回り込みにくい(回折しにくい)からです。700〜900MHzのプラチナバンドは1つの基地局で数km〜十数kmを覆えますが、28GHzのミリ波は約100m、6Gのサブテラヘルツは10m未満しか届きません。広く覆うには、より多くの基地局を密に置く必要があります。

用語集

基地局/ base station
スマホと電波をやり取りするアンテナ設備。担当エリア(セル)ごとに置かれ、移動すると隣の基地局へ接続が引き継がれる(ハンドオーバー)。
パケット/ packet
データを小さく分けた「小包」。インターネットでは情報をパケットに分割し、1個ずつ宛先まで運んで、相手側で元に戻す。

参考資料・引用元

  1. 5Gの整備状況(人口カバー率・基地局数)公的機関
    総務省(2025)— 使用箇所: 日本の5G人口カバー率は2024年度末で98.4%、5G基地局 約26万局。2030年度末に全都道府県99%目標
    https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000731.html
  2. ITU-R M.2410(IMT-2020性能要件)業界団体
    ITU-R(2017)— 使用箇所: 5G(IMT-2020)の性能要件:eMBBピーク下り最大20Gbps、URLLC無線遅延1ms級、mMTC 100万デバイス/km²
    https://www.itu.int/rec/R-REC-M.2410
  3. Spectrum Bands for 5G and 6G: Frequency, Propagation and Future Potential業界団体
    TelecomTrainer(2024)— 使用箇所: 周波数とセル半径:低帯域(0.3–3GHz)約10km、ミッドバンド(3.5GHz)約1km、ミリ波(30–300GHz)約100m、サブTHz(6G)10m未満。高周波ほど直進性が強く到達短く基地局多数が必要
    https://www.telecomtrainer.com/spectrum-bands-for-5g-and-6g-frequency-propagation-and-future-potential/
  4. プラチナバンドとは(700–900MHzの電波特性)報道
    ユピテル(2024)— 使用箇所: 低周波(700–900MHz=プラチナバンド)は回折(障害物を回り込む特性)に優れ、屋内・地下にも届き広域を安定カバー。高周波ほど直進性が強く遮られやすい
    https://www.yupiteru.co.jp/yupista/article/platinum_band.html
  5. ITU-R M.2160(IMT-2030/6Gフレームワーク)業界団体
    ITU-R(2023-11)— 使用箇所: 6G(IMT-2030)のフレームワーク勧告(2023-11)。6つの利用シナリオ。能力値は研究目標レンジ(ピーク50–200Gbps等)で確定TPRではない
    https://www.itu.int/dms_pubrec/itu-r/rec/m/R-REC-M.2160-0-202311-I!!PDF-E.pdf
  6. NTTドコモ 6Gホワイトペーパー一次情報
    NTTドコモ(2020)— 使用箇所: 6Gは2030年頃のサービス開始を目標、最大100Gbps超・5G比100倍以上の大容量、テラヘルツ波など新高周波数帯の開拓
    https://www.docomo.ne.jp/corporate/technology/whitepaper_6g/

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