半導体メモリには、電源を切ると消える高速な「DRAM」と、消えずに残る大容量の「NAND」の2種類があります。どちらもSamsung・SK hynix・Micronなど数社が世界を分け合う寡占市場で、AIサーバーの急増により2025年に価格が急騰しました。

「半導体とは何か」で見たように、チップには「計算する側」と「覚える側」があります。覚える側がメモリです。AIの話題はGPUに集中しがちですが、実際にはメモリの奪い合いがAIインフラの最大級のボトルネックになっています。全体像は「半導体まとめ・入門ロードマップ」で確認できます。

この記事で動かせる図解

  1. 01メモリチップの3Dモデル覚えるチップ=メモリの構造を立体で確認
  2. 02チップの種類マップロジック/メモリ/アナログの位置づけ
ひとことで言うと(初心者向け)

メモリは「覚えるチップ」です。DRAMは電源を切ると消える高速な作業用メモリ、NANDは消えない大容量ストレージ。どちらもSamsung・SK hynix・Micron・Kioxiaなど数社の寡占です。AIで需要が急増し、2025年に価格が大きく上がりました。

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構造で言うと(投資家向け)

DRAMは3社で約9割、NANDは上位4〜5社で8割超の寡占。参入障壁が高く、価格は需給で大きく振れるサイクル産業。AI向けHBMへの生産シフトが一般メモリの供給を絞り、2025年に価格急騰。各社の設備投資と在庫水準が次の波を決めます。

DRAMとNANDとは何が違うのか

とは、どちらもデータを覚えるメモリですが、役割が正反対です。DRAMは電源を切るとデータが消える「揮発性」メモリで、その代わり読み書きが非常に速く、CPUやGPUが計算中のデータを一時的に置く作業机として使われます。NANDは電源を切ってもデータが残る「不揮発性」メモリで、SSDやスマホのストレージとして大量のデータを安く保存します。

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つまりDRAMは「速さ」、NANDは「大容量と低コスト」を担当します。パソコンで言えば、DRAMがメインメモリ(作業スペース)、NANDがSSD(保存スペース)です。AIサーバーはこの両方を桁違いに必要とします。

なぜNANDはセルを縦に積むのか

NANDは長く微細化で容量を増やしてきましたが、平面(横方向)の縮小は限界に達しました。そこで生まれたのがです。3D NANDとは、記憶セルを縦方向に何百層も積み上げて容量密度を高めるNANDの構造のことです。平面で限界に達したため、ビルのように上へ伸ばす発想に切り替えました。

積層数は競争の軸で、200層超から400層級へと各社が競っています。しかも層を深く・まっすぐ削るには高度な「エッチング装置」や「成膜装置」が欠かせず、そのためメモリの進化は装置メーカーの設備投資に直結します。

誰がメモリ市場を握っているのか

メモリは数社の寡占です。DRAMはSamsung・SK hynix・Micronの3社で世界シェアの約9割を占めます。TrendForce集計の2025年第4四半期では、Samsungが約36%で首位に返り咲き、SK hynixが約32.1%、Micronが約22.4%でした(TrendForce)。

NANDはこの3社にKioxia(旧東芝メモリ)/SanDiskを加えた構図です。2025年第3四半期はSamsungが約32.3%、SK hynix(Solidigm含む)が約19.3%、Kioxiaが約15.3%で、上位4〜5社で8割超を占めます。これほど少数の企業が握るのは、工場と微細化への投資が巨額で、新規参入がほぼ不可能だからです(TrendForce)。

メモリ価格はなぜ激しく動くのか

メモリは需給で価格が大きく振れる「サイクル産業」です。製品の中身が各社でほぼ同じ(汎用品)なため、供給が需要を上回ると価格は急落し、足りなくなると急騰します。実際2025年は、AIサーバー向けの「HBM(広帯域メモリ)」が利益率で圧倒的に有利だったため、各社が生産をHBMに振り向けました。

その結果、一般用DRAMとNANDの供給が絞られ、価格が急騰しました。世界半導体市場は2025年に約7,917億ドル(前年比+25.6%)へ拡大し、メモリの回復がその大きな牽引役になりました。メモリ企業に投資する際は、価格サイクルのどの局面にいるか、各社の設備投資と在庫水準を見ることが重要です。なお本記事は投資助言ではありません(SIA)。

この記事のまとめ

  • 半導体は「計算するロジック」と「覚えるメモリ」に分かれ、メモリの二本柱がDRAMとNAND。
  • DRAMは電源を切ると消える高速な作業用メモリ、NANDは消えない大容量ストレージ。役割が違う。
  • DRAMはSamsung・SK hynix・Micronの3社で約9割、NANDは上位4〜5社で8割超の寡占。
  • NANDはセルを縦に積む3D NANDで容量を伸ばし、積層数(200層超→400層級)が競争軸。
  • AIでHBM生産が優先され一般メモリの供給が絞られ、2025年に価格が急騰。需給で動くサイクル産業。

この記事のまとめ

  • 半導体は「計算するロジック」と「覚えるメモリ」に大別され、メモリの二本柱がDRAMとNAND。
  • DRAMは電源を切ると消える高速メモリ、NANDは消えない大容量ストレージ。役割が違う。
  • DRAMはSamsung・SK hynix・Micronの3社で約9割、NANDは上位4〜5社で8割超の寡占。
  • NANDはセルを縦に積む3D NANDで容量を伸ばし、積層数が競争軸になっている。
  • AIでHBM生産が優先され一般メモリの供給が絞られ、2025年に価格が急騰。需給で動くサイクル産業。
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よくある質問(FAQ)

Q.DRAMとNANDの違いは何ですか?+

DRAMは電源を切るとデータが消える高速な作業用メモリで、CPUやGPUが計算中のデータを置きます。NANDは電源を切ってもデータが残る記憶装置で、SSDやスマホのストレージに使われます。DRAMは速さ、NANDは大容量と低コストが役割です。

Q.メモリ半導体はどの会社が強いのですか?+

DRAMはSamsung・SK hynix・Micronの3社で世界の約9割を占めます。NANDはこの3社にKioxia(旧東芝メモリ)/SanDiskを加えた上位4〜5社で8割超を占めます。いずれも数社の寡占市場です(TrendForce集計)。

Q.なぜAIでメモリの値段が上がったのですか?+

AIサーバーは大量のDRAM(特にHBM)とSSDを必要とします。各社が利益率の高いHBMの生産を優先した結果、一般用のDRAM・NANDの供給が絞られ、2025年に価格が急騰しました。メモリは需給で価格が大きく動く「サイクル産業」です。

用語集

DRAM/ Dynamic Random Access Memory
電源を切ると消える、高速な作業用メモリ。CPUやGPUが計算中のデータを一時的に置く。
NAND(NANDフラッシュ)/ NAND flash
電源を切ってもデータが消えない記憶装置。SSDやスマホのストレージに使われる。
3D NAND/ three-dimensional NAND
メモリのセルを縦に何百層も積み上げて容量を増やすNANDの構造。平面では限界に達したため縦方向へ伸ばした。
HBM/ High Bandwidth Memory
DRAMを積み重ねて広帯域にした高性能メモリ。AI半導体とセットで使われる。
歩留まり/ yield ヨミ:ぶどまり
1枚のウェハーから取れるチップのうち、欠陥のない良品の割合。
ウェハー/ wafer
半導体を作る土台となる円盤状のシリコン。ここに多数のチップをまとめて作る。

参考資料・引用元

  1. Price Rally Drives 4Q25 DRAM Revenue Up 29.4%; Samsung Regains No. 1 Market Share調査会社
    TrendForce(2026-02-26)— 使用箇所: DRAM市場シェア(4Q25) Samsung 36%・SK hynix 32.1%・Micron 22.4%。上位3社で約9割
    https://www.trendforce.com/presscenter/news/20260226-12937.html
  2. AI Infrastructure Continues to Strengthen NAND Flash Demand; Kioxia Posts Highest QoQ Growth in 3Q25調査会社
    TrendForce(2025-12-03)— 使用箇所: NAND市場シェア(3Q25) Samsung 32.3%・SK hynix 19.3%・Kioxia 15.3%。上位4社で8割超
    https://www.trendforce.com/presscenter/news/20251203-12813.html
  3. Global Annual Semiconductor Sales Increase 25.6% to $791.7 Billion in 2025業界団体
    SIA(米半導体工業会)(2026-02)— 使用箇所: 世界半導体市場規模 2024年6,305億ドル・2025年7,917億ドル(+25.6%)・2026年約1兆ドル見込み
    https://www.semiconductors.org/global-annual-semiconductor-sales-increase-25-6-to-791-7-billion-in-2025/

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