「成膜装置とAMATの強さ」で「つける」工程を見ました。つけた膜は、そのままでは回路になりません。露光で焼いたパターンに沿って、いらない所を削る——それがエッチングです。各装置が製造工程のどこに位置するかは「半導体まとめ・入門ロードマップ」で全体像を確認できます。
この記事で動かせる図解
- 01エッチングの断面図(Before→After)レジストのない所が削られ、膜にパターンが刻まれる様子
エッチングは、レジストに覆われていない部分の膜を削り、回路パターンを刻む工程です。成膜が『つける』なら、エッチングは『削る』。世界首位は米Lam Researchで、東京エレクトロンやApplied Materialsが続きます。
構造で言うと(投資家向け)も見る
エッチングはLam Researchが世界首位(概ね40〜55%、先端ノードではさらに高いとされる)。特に3D NAND(メモリ)の深い穴を削る技術に強い。微細化・積層化で重要性が増す分野で、メモリ投資サイクルに業績が連動します。
エッチングとは何か
とは、レジストに覆われていない部分の膜を削り取り、回路パターンを膜に刻む工程です。下の断面図のように、レジストの下だけ膜が残り、それ以外は削られます。
露光はあくまで「設計図をレジストに転写する」だけで、実際に膜を形にするのはエッチングです。(つける)→(焼く)→エッチング(削る)の3つがそろって、初めて1層の回路ができます。
なぜ微細化でエッチングの重要性が増すのか
回路が微細になり、立体的に積み上がるほど、「細く・深く・真っ直ぐ削る」技術が難しくなります。特に3D NAND(積層型メモリ)では、何百層も積んだ膜に細く深い穴を垂直に開ける必要があり、ここに高度なエッチング技術が求められます。そのため、微細化と積層化が進むほど、エッチング装置の価値は高まります。
同じことはAI向けの「HBM(広帯域メモリ)」にも当てはまります。HBMはDRAMを何段も積み、上下を貫く穴(TSV)で電気的につなぐため、深く真っ直ぐ削るエッチングが欠かせません。こうしてAIの需要拡大が、エッチング装置の需要を押し上げる構図です。
誰がエッチング装置を握っているのか
世界首位は米Lam Researchです。エッチングと成膜に強く、特に3D NAND向けで存在感があります。エッチングの世界シェアは概ね40〜55%、先端ノードではさらに高いとされます(出典により幅があります)。2024年6月期の売上は約149億ドルでした(Lam Research)。
次いで東京エレクトロン、Applied Materialsが続きます。エッチングと成膜は同じ装置メーカーが手がけることが多く、3社(Lam・東京エレクトロン・AMAT)が前工程の「削る・つける」を分け合う構図です。日本勢の位置づけは「半導体は日本の装置がなければ作れない」で詳しく扱います。
投資・市場の観点では何が重要か
エッチング装置は、メモリの設備投資に特に連動します。3D NANDの積層数が増えるほど、難しいエッチング装置の需要が伸びるためです。2024年の前工程装置市場は約1,010億ドルで過去最高でした(SEMI)。Lam Researchの業績を見るときは、メモリ市況とAI向け需要、そして対中規制の影響を確認するのが要点です。なお本記事は投資助言ではありません(SEMI)。
この記事のまとめ
- エッチングは、レジストのない部分の膜を削り、回路パターンを膜に刻む工程。露光で転写した形を実体化する。
- 成膜(つける)とエッチング(削る)を露光と組み合わせ、何十回も繰り返して立体的な回路を作る。
- 世界首位は米Lam Research(概ね40〜55%、先端ノードではさらに高いとされる)。2024年6月期 売上約149億ドル。
- 特に3D NAND(積層メモリ)の深い穴を削る技術に強く、メモリの設備投資サイクルに業績が連動する。
- 次点は東京エレクトロン・Applied Materials。微細化・積層化が進むほどエッチングの重要性は増す。
よくある質問(FAQ)
Q.エッチングとは何ですか?+
レジスト(感光膜)に覆われていない部分の膜を削り取り、回路パターンを膜そのものに刻む工程です。露光で転写したパターンを、エッチングで実際の形にします。気体で削るドライエッチングが主流です。
Q.成膜とエッチングはどう違うのですか?+
成膜が膜を「つける」工程なのに対し、エッチングは膜を「削る」工程です。半導体は、つける(成膜)→焼く(露光)→削る(エッチング)を何十回も繰り返して立体的な回路を作ります。
Q.なぜ3D NANDでエッチングが重要なのですか?+
3D NAND(積層型メモリ)は、何百層も積んだ膜に、細く深い穴を垂直に開ける必要があります。この「深い穴を真っ直ぐ削る」高度なエッチング技術が性能を左右するため、エッチングはメモリで特に重要です。
Q.エッチング装置はどの会社が強いのですか?+
米Lam Researchが世界首位で、シェアは概ね40〜55%、先端ノードではさらに高いとされます(出典により幅があります)。次いで東京エレクトロン、Applied Materialsが続きます。
用語集
- エッチング/ etching
- レジストに覆われていない部分の膜を、気体や薬液で削り取り、回路パターンを膜に刻む工程。
- 成膜(せいまく)・塗布/ deposition / coating
- ウェハー表面に、配線や絶縁体になる薄い膜を一様につける工程。液体を塗る『塗布』も含む。
- 露光(リソグラフィ)/ lithography
- 回路の原版(マスク)を通して光を当て、回路パターンをチップに転写する工程。半導体製造の心臓部。
- ノード(プロセス)/ process node
- 製造プロセスの世代を表す呼び名(例:3nm)。小さいほど高性能・省電力になりやすい。
- HBM/ High Bandwidth Memory
- DRAMを積み重ねて広帯域にした高性能メモリ。AI半導体とセットで使われる。
参考資料・引用元
- Lam Research Reports Financial Results for the Quarter Ended June 30, 2024一次情報Lam Research(IR)(2024-07)— 使用箇所: Lam 2024年6月期 売上 約149億ドル・エッチング首位・3D NAND向けに強いhttps://investor.lamresearch.com/2024-07-31-Lam-Research-Corporation-Reports-Financial-Results-for-the-Quarter-Ended-June-30,-2024
- Applied Materials Fourth Quarter and Fiscal Year 2024 Results一次情報Applied Materials(IR)(2024-11)— 使用箇所: AMAT 2024年10月期 売上 約272億ドル(過去最高)・成膜/CMP/イオン注入で広範https://ir.appliedmaterials.com/news-releases/news-release-details/applied-materials-announces-fourth-quarter-and-fiscal-year-2024
- 東京エレクトロン 2025年3月期 決算(FY2025 Financial Results)一次情報Tokyo Electron(IR)(2025-05)— 使用箇所: TEL 2025年3月期 売上約2.43兆円(過去最高)・コータ/デベロッパ世界シェアhttps://www.tel.com/ir/library/report/
- Global Total Semiconductor Equipment Sales Forecast to Reach Record $109 Billion in 2024業界団体SEMI(2024)— 使用箇所: 2024年 前工程装置(WFE)約1,010億ドル・総装置約1,090億ドル(過去最高)https://www.semi.org/en/semi-press-releases/global-total-semiconductor-equipment-sales-forecast-to-reach-record
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