インターネットの大部分は、最終的に光ファイバーの上を流れています。データが世界の網を渡る全体像は「あなたのメッセージは世界の網を渡っていた」で扱いました。ここでは、その通り道である光ファイバーそのものを掘り下げます。
光ファイバーは、細いガラスの線の中を光が通ります。光がまっすぐ進むだけだと壁から漏れそうですが、『全反射』という現象で内側に跳ね返り続けるので、外へ漏れずに遠くまで届きます。だから曲げても大丈夫なのです。
構造で言うと(投資家向け)も見る
コア/クラッドの屈折率差(約1%)による全反射で光を導波。シングルモード(コア約9µm)は分散が小さく長距離向け、1550nmで損失約0.2dB/km。広帯域・低損失・耐ノイズが銅線に対する本質的優位で、海底/DC幹線の物理層を独占します。
光ファイバーはなぜ光を遠くまで運べるのか
カギはという現象です。光は、屈折率(光の進みにくさを表す値)の高い物質から低い物質へ、浅い角度で当たると、境界で100%跳ね返ります。鏡がなくても、条件さえ整えば光は完全に反射するのです。
光ファイバーは、この全反射を連続して起こすことで、光を内側に閉じ込めたまま進ませます。下の図で、光がどう跳ね返りながら進むか見てみましょう。
光ファイバーは光をどう閉じ込めるのか(切り替え)
シングルモードは、髪の毛より細いコア(約9µm)にほぼ一直線で光を通します。光の通り道が1本なので、長距離でも信号が崩れにくく、海底ケーブルや幹線に使われます。
この図が示すこと:光ファイバーは、屈折率の高いコアと低いクラッドの境界で光を全反射させ、外へ逃さずに運びます。だから曲げても光が漏れず、1550nmの赤外線なら1kmあたりの損失はわずか約0.2dBです。
光は外へ漏れず、ひたすらコア(中心)の中だけを跳ね返りながら進みます。だからファイバーを多少曲げても、光は漏れずに届くのです(Corning / Wikipedia)。
光ファイバーはどんな構造をしているのか
光ファイバーは、3つの層でできています。
- コア:光が通る中心部。屈折率が高い。
- クラッド:コアを包む層。屈折率がコアより約1%低い。この差が全反射を生む。
- 被覆(コーティング):いちばん外側の保護層。
コアの太さは用途で変わります。長距離向けのシングルモードは約9µm(髪の毛よりずっと細い)で、光の通り道が1本に絞られるため信号が崩れにくく、海底ケーブルや幹線に使われます。一方、短距離向けのマルチモードは50〜62.5µmと太く、作りやすい反面、複数の経路差で信号が崩れやすいため、建物内などに使われます。海底ケーブルの中で光ファイバーがどう束ねられているかは「日本のどこに海底ケーブルは上がっているのか」の断面モデルで見られます(ITU-T)。
光ファイバーが銅線より優れているのはなぜか
理由は3つあります。第一に、運べる情報量が桁違いに多いこと。光は周波数が非常に高いので、大量のデータを乗せられます。第二に、信号が弱まりにくいこと。1550nm(赤外線)を使うと、1kmあたりの損失はわずか約0.2dBで、数十km進んでも中継器なしで届きます。第三に、電気的なノイズの影響を受けないこと。光は電磁波の干渉を受けないため、安定しています。
この「大容量・低損失・ノイズに強い」という性質が、海を越える長距離通信や、データセンター内の高速通信を支えています。なお、宇宙の真空中ではファイバーより光が速く進むため、長距離では「衛星のレーザー網がファイバーに勝つこともある」というのも、この屈折率の話と地続きです(M2 Optics)。
この記事のまとめ
- 光ファイバーは「全反射」で光を外へ逃さず、コアの中だけを進ませて遠くまで運ぶ。
- 構造はコア(屈折率が高い)+クラッド(約1%低い)+被覆の3層。屈折率差が全反射を生む。
- シングルモード(コア約9µm)は長距離向け、マルチモード(50〜62.5µm)は短距離向け。
- 1550nmの赤外線で損失は約0.2dB/kmと極めて低く、電気ノイズにも強い。
- この低損失・大容量が、海底ケーブルやデータセンターの通信を支えている。
この記事のまとめ
- 光ファイバーは「全反射」で光を外へ逃さず、コアの中だけを進ませて遠くまで運ぶ。
- 構造はコア(屈折率が高い)+クラッド(約1%低い)+被覆の3層。屈折率差が全反射を生む。
- シングルモード(コア約9µm)は長距離向け、マルチモード(50〜62.5µm)は短距離向け。
- 1550nmの赤外線で損失は約0.2dB/kmと極めて低く、電気ノイズにも強い。
- この低損失・大容量が、海底ケーブルやデータセンターの通信を支えている。
よくある質問(FAQ)
Q.光ファイバーで全反射が起きるのはなぜですか?+
光ファイバーのコア(中心部)はクラッド(外側)より屈折率が約1%高く、この屈折率差が全反射を生みます。光が屈折率の高い物質から低い物質へ浅い角度で入ると、境界で外へ出られずに100%反射されます(全反射)。コアの中を斜めに進む光はこの全反射を繰り返すため、外へ漏れずに遠くまで届きます。損失が極めて小さく(1550nmで約0.2dB/km)、海底ケーブルにも使われる理由です。
Q.光ファイバーはなぜ光を遠くまで運べるのですか?+
「全反射」という現象を使っているからです。光は、屈折率の高いコア(中心)から低いクラッド(外側)へ浅い角度で当たると、境界で100%跳ね返ります。これが繰り返されるため、光は外へ漏れずにコアの中だけを進み続け、遠くまで届きます。
Q.光ファイバーはどんな構造ですか?+
中心の「コア」、それを包む「クラッド」、保護する「被覆」の3層です。コアの屈折率はクラッドより約1%高く、この差が全反射を生みます。コアの太さは、長距離向けのシングルモードで約9µm(髪の毛より細い)、短距離向けのマルチモードで50〜62.5µmです。
Q.光ファイバーが銅線より優れているのはなぜですか?+
運べる情報量が桁違いに多く、信号が弱まりにくく、電気的なノイズの影響を受けないからです。1550nmの赤外線を使うと、1kmあたりの損失はわずか約0.2dB。だから海底を越える長距離通信も、細いガラス1本でまかなえます。
用語集
- 全反射/ total internal reflection
- 光が屈折率の高い物質から低い物質へ、浅い角度で当たると、境界で100%跳ね返る現象。光ファイバーが光を外へ逃さず運べる原理。
- 海底ケーブル/ submarine cable
- 海の底に敷かれた光ファイバーで、国際通信の大半を運ぶ。陸揚げする場所(陸揚局)の近くは通信が速い。
- パケット/ packet
- データを小さく分けた「小包」。インターネットでは情報をパケットに分割し、1個ずつ宛先まで運んで、相手側で元に戻す。
参考資料・引用元
- ITU-T G.652(シングルモード光ファイバ・ケーブル)業界団体ITU-T(2024-08)— 使用箇所: 光ファイバの寸法・損失規格。シングルモードのコア径 約9µm、クラッド径125µm、低損失窓 1310nm/1550nm、1550nmで減衰 約0.2dB/kmhttps://www.itu.int/epublications/publication/itu-t-g-652-2024-08
- Optical fiber(全反射・コア/クラッド構造)業界団体Corning / Wikipedia(2024)— 使用箇所: コア(屈折率高)とクラッド(約1%低)の境界で光が全反射し閉じ込められる。マルチモードのコア径50/62.5µm。1970年Corningが世界初の低損失ファイバを実用化https://en.wikipedia.org/wiki/Optical_fiber
- Calculating Optical Fiber Latency業界団体M2 Optics(2024)— 使用箇所: 光ファイバー中の信号速度は約204,000km/s(真空中光速の約2/3、屈折率約1.47)。約4.9µs/km。レイテンシの物理的下限の根拠https://www.m2optics.com/blog/bid/70587/calculating-optical-fiber-latency
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