ソニーとTSMCは、熊本県内でそれぞれ別々に次世代の新しい工場整備を進めてきた。2026年8月11日、両社は合志市のソニー新工場を舞台とする合弁会社「Advanced Vision Semiconductor Manufacturing Corporation」の設立を発表した。法的拘束力のある正式契約の締結により、5月8日の非拘束MOUから3か月で検討段階から確定契約へ進んだ形だ。

熊本県内の半導体拠点は、菊陽町にある「TSMC子会社JASM」と、合志市のソニー自社工場という別々の2つの拠点として整理できる。両社はこれまで別個に投資を進めてきた。2026年5月8日のMOU(法的拘束力のない基本合意書)で共同事業の検討が始まり、8月11日の正式契約でその内容が確定した。同じ日、TSMCの取締役会は配当のドル建て化と枠承認という、別の資本政策も決定している。

本稿では、合志の新工場・5月のMOU・8月11日の正式契約と資本政策決定・TSMC子会社JASM・7月28日の熊本地震という5つの動きを整理する。震災後の復旧経過は「熊本地震まとめ記事」で随時更新している。

ひとことで言うと(初心者向け)

熊本には、ソニーが自分で建てているイメージセンサー(光を電気信号に変える半導体)の新工場と、台湾TSMCの子会社JASMが運営する工場という、別々の2つの拠点があります。2026年5月8日、ソニーとTSMCは、法的な拘束力のない『とりあえずの合意』(MOU)を結び、ソニーの新工場(合志市)で次世代イメージセンサーを一緒に作る合弁会社を作れないか検討を始めると発表しました。そして2026年8月11日、両社はこの合弁会社『Advanced Vision Semiconductor Manufacturing Corporation』の設立について、法的な拘束力のある正式な契約を結んだと発表しました。ソニーが約4,650億円、TSMCが約2,820億円を出資し、量産開始は2029年の見込みです。同じ日、TSMCの取締役会は別件として、海外の株主に配当をドルで受け取れる新しい仕組みや、約294億ドル(約4.3兆円)の設備投資も決めています。7月28日には熊本地震が起き、ソニーの既存工場は生産を止めましたが、8月4日から段階的に再開する計画が発表されています。一方、合志の新工場やJASMの第2工場が、地震で建設スケジュールに影響を受けたかどうかは、ソニー・TSMCのどちらからも公式な発表がなく、まだわかっていません。

構造で言うと(投資家向け)も見る
構造で言うと(投資家向け)

熊本はソニー自社の合志新工場(経産省が4/17に最大600億円補助)とTSMC子会社JASM(菊陽町・ソニー出資20%未満)という別拠点。5/8の非拘束MOUを経て、8/11に法的拘束力のある正式契約を締結(JV名Advanced Vision Semiconductor Manufacturing Corporation)。出資額はソニー約4,650億円(現金+資産譲渡)・TSMC約2,820億円(現金)で、ソニーが支配株主。量産開始は2029年見込み、規制当局の承認・政府支援が前提。同日のTSMC取締役会では、外国人株主向け配当の初のドル建て選択制(Q2配当1株NT$7)と約294.4億ドルの設備投資枠承認も決議。TSMCは7/16決算でJASM第1のCIS向け成熟ノード増強と日本含む3nmファブ追加計画に言及(地震12日前)。合志・JASM第2の建設スケジュールへの地震影響は公式未言及。

合志のソニー新工場に、政府はなぜ600億円を補助したのか

合志市のソニー新工場とは、熊本県合志市でソニーグループが建設を進めているイメージセンサーの新工場のことだ。経済産業省は2026年4月17日、経済安全保障推進法に基づき、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(SCK)が合志市に建設中のこの新工場に対し、最大600億円を補助すると発表した。同法は、半導体など国の安定供給に欠かせない重要物資の生産基盤を強化するための法律である。ロイター・時事通信・EE Times・朝日新聞など複数の報道機関が、同日そろって同じ内容を報じている。

TSMCが5月に公表したプレスリリースには、この工場を指す一節がある。原文は「Sony's newly constructed fab in Koshi City, Kumamoto Prefecture」で、「newly constructed(新たに建設された)」という言い方からは、建屋そのものはすでに完成済みと読み取れる。

5月8日のMOUで、ソニーとTSMCは何を検討することになったのか

2026年5月8日、ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)とTSMCは、次世代イメージセンサーの開発・生産に関する戦略的パートナーシップの基本合意書(MOU)を締結したと発表した。このMOUには法的拘束力がなく、実際に事業を担うJV(合弁会社)の設立自体、これから検討する段階にある。合意の柱は、合志の新工場に次世代イメージセンサーの開発・生産ラインを構築する方向で検討を進めるという点だ。

両社が動機として挙げるのは、自動車やロボティクスなど、「フィジカルAI」用途の需要拡大である。フィジカルAIとは、カメラやセンサーで周囲の状況を読み取り、実世界で自ら判断・行動するAIのことで、高性能なイメージセンサーが欠かせない。TSMCの発表文には、JVによる投資に加えて、ソニー自身が既存の長崎工場に新たな投資を行うことも並べて記載されている。長崎への投資はJVの投資枠に含まれるのではなく、別枠として検討されている点に注意が必要だ。

両社は、これらの投資について「市場需要に応じた段階的な実施」と「日本政府の支援」を前提に検討するとしている。投資額・実施時期・TSMCの出資比率は、5月8日時点でいずれも公表されていない。

8月11日、ソニーとTSMCの正式契約は何を確定させたのか

日本経済新聞は2026年8月10日、ソニーグループとTSMCが次世代イメージセンサーの合弁会社を2026年度内に設立する方針だと報じていた。報道によれば投資額は約1兆円規模、出資比率はソニー側約60%・TSMC側約40%、量産開始は2029年ごろとされていた。その翌日、この報道は公式発表によって裏づけられた。

2026年8月11日、SSSとTSMCは、合弁会社「Advanced Vision Semiconductor Manufacturing Corporation」の設立を発表した。両社は**法的拘束力のある正式契約(definitive agreement)**を締結しており、5月8日の非拘束MOUから3か月で検討段階から確定契約へ進んだことになる。出資額はソニーが現金と資産譲渡を合わせて約4,650億円、TSMCが現金で約2,820億円で、ソニーが単独の支配株主(controlling shareholder)になる。

合計出資額は約7,470億円で、日経が報じた「約1兆円」よりは小さいが、同じ桁の規模だ。出資比率で見るとソニー約62%・TSMC約38%となり、日経が報じた60%・40%の見通しとおおむね一致する。

合志の新工場についてはすでにソニーが投資してきた既存の施設を、会社分割によってこのJVへ譲渡する計画も明らかになった。量産開始の見込みは2029年で、日経報道と一致する。ただし発表文には「規制当局の承認や政府支援を前提とする」との留保も付いている。契約締結がそのまま無条件の事業開始を意味するわけではない。

なぜTSMCは配当をドル建てにするのか

ソニーとの合弁契約と同じ2026年8月11日、TSMCは取締役会で2026年第2四半期の1株7新台湾ドルの現金配当を決議した。同時に、外国人株主が初めてドル建てで配当を受け取れる制度を導入すると発表した。対象は、台湾証券取引所にTSMC株を直接保有する海外投資家だ。

TSMCは今回の配当分から、「華僑及び外国人による証券投資に関する規則」にもとづいて投資する外国人株主に対し、現金配当をドル建てで受け取る選択肢を提供するとしている。これまでは配当が新台湾ドル建てで支払われ、投資家自身が円やドルへの換金と為替リスクを負う必要があった。

一つ注意が必要だ。ニューヨーク証券取引所に上場するADS(American Depositary Shares=米国預託株式、銘柄コードTSM)の保有者について、発表資料は権利落ち日・基準日がいずれも同じ12月10日になると記載している。ただし、今回の新しいドル建て選択制の対象に含まれるとは書かれていない。

ADSはもともと預託銀行が新台湾ドル建ての配当をドルに換算して支払う仕組みのため、保有者はすでにドル建てで受け取っている。つまりこの制度変更は、台湾市場に直接投資する海外株主向けの改定だ。米国市場でADSを保有する投資家にとって実務上の変化があるとは一次情報から確認できない。

294億ドルの設備投資はどこへ向かうのか

同じ取締役会で、TSMCは約294.4億ドル(US$29,442.50 million)の設備投資枠を承認した。用途は主に3つある。第一に先端技術の生産能力の新設・増強、第二に先端ならびに成熟・特殊技術の生産能力の新設・増強、第三に工場建屋の建設とファブ設備システムの導入である。

TSMCはこの投資枠を、市場の需要予測と技術ロードマップにもとづく長期的な生産能力計画に沿ったものと説明している。配当のドル建て化・設備投資・ソニーとの合弁正式契約という3つが同じ取締役会で同時に決議された。この背景には、「2026年Q2決算」で示された過去最高の純利益(NT$7,065.6億)がある。TSMCは株主還元と成長投資・戦略提携を同時に進められる財務体力を持っている。

JASMとは何か、ソニーはどう関わっているのか

菊陽町にある「JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)」は、「TSMC」が2021年に設立した子会社である。ソニーセミコンダクタソリューションズは、設立時にJASMへ少数株主として参画すると発表しており、出資比率は20%未満とされている。運営の主導権を握るのはTSMCで、ソニーは自社のイメージセンサー生産に欠かせない(他社の設計に基づき半導体を受託製造する会社)の生産能力を安定確保する立場にある。半導体業界における設計会社と製造会社の分業構造は、「別稿」で詳しく解説している。

JASM第1工場は2021年の設立時点で、22/28ナノメートル世代を皮切りとしたスペシャルティ技術のファウンドリサービスと位置づけられていた。その後、対応する技術世代や第2工場の建設を含めて事業は拡大してきている。TSMCは2026年7月16日の2026年第2四半期決算説明会で、C.C. Wei会長兼CEOがJASM第1工場について、成熟ノード(最先端ではなく、量産実績が積み上がった世代のプロセス技術)向けの生産能力を増強していると述べた。原文は「We are increasing our mature node capacity through JASM Fab 1 in Japan, for CMOS Image Sensor application」である。

同じ説明会では、台湾・アリゾナ・日本に3ナノメートル世代のファブを1つずつ追加する世界計画も語られている。ただし、この発言は熊本地震の12日前のもので、県名や投資額、着工・稼働時期への言及は一切ない。

熊本地震は2つの新工場にどう影響したのか

2026年7月28日、熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。ソニーの既存拠点である熊本テクノロジーセンター(菊陽町、運営はソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)は生産を停止した。ソニーセミコンダクタソリューションズは7月29日の第1報で、被害状況を確認中とした。

7月31日の第2報では、「8月4日より段階的に操業を再開する予定」「8月中旬には地震発生前の稼働水準へ復旧する見込み」と発表している。8月10日時点で、これを更新する第3報は確認できていない。

TSMC子会社JASMの第1工場については、建屋に構造的な被害はなかったと伝えられている。ただしこれはTSMCの公式プレスリリースではなく、フォーカス台湾(中央社)の取材への回答として報じられた内容だ。TSMCは同時に、設備への影響評価を継続する方針も示していた。

その後、TSMC日本法人は8月3日、公式X(旧Twitter)で工場の生産体制が早期に復旧したと発表し、熊本の復興支援として2億5,000万円を寄付すると明らかにした。この内容は日本経済新聞やフォーカス台湾の続報でも確認できる。

一方、正式契約の対象である合志市のソニー新工場と、JASM第2工場については、建設スケジュールに対する地震の影響に触れた公式発表が、ソニー・TSMCのいずれからも見当たらない。これは「影響がなかった」ことの確認ではなく、8月11日時点で公式な言及そのものが存在しないという意味である。地震全体の復旧経過は「熊本地震まとめ記事」で随時更新している。「ソニーの企業分析はこちら」、「TSMCの企業分析はこちら」で詳しく扱っている。

この記事のまとめ

  • ソニーとTSMCは熊本県内に別々の新拠点を持つ。合志のソニー新工場(経産省が最大600億円を補助)と、菊陽町のTSMC子会社JASMは別の拠点である。
  • 2026年5月8日の非拘束MOUを経て、8月11日に正式契約を締結し、ソニーが約4,650億円・TSMCが約2,820億円を出資する合弁会社「Advanced Vision Semiconductor Manufacturing Corporation」を設立する。量産開始は2029年見込み。
  • 同じ8月11日、TSMCの取締役会は外国人株主向け配当の初のドル建て選択制(Q2配当1株NT$7)と、約294.4億ドルの設備投資枠承認も決議した。ただしADS保有者が対象と確認できる記載はない。
  • JASMはTSMCが2021年に設立した子会社で、ソニーは少数株主(20%未満)として参画している。TSMCは第1工場の成熟ノード増強と3nmファブ追加計画に言及した。
  • 7月28日の熊本地震で既存拠点は生産を停止したが、8月11日時点で合志新工場・JASM第2工場の建設への地震の影響を示す公式発表は見当たらない。
  • 8月11日の正式契約により、日本経済新聞が8月10日に報じた投資規模・出資比率・量産時期はおおむね裏づけられた。ただし規制当局の承認や政府支援を前提とする留保も付いている。

この記事のまとめ

  • ソニーとTSMCは熊本県内に別々の新拠点を持つ。合志市のソニー新工場(経産省が2026年4月17日に最大600億円を補助)と、菊陽町のTSMC子会社JASMは、運営主体も出資関係も異なる別の拠点である。
  • 2026年5月8日の非拘束MOUを経て、8月11日に両社は合弁会社『Advanced Vision Semiconductor Manufacturing Corporation』の設立で法的拘束力のある正式契約を締結。ソニーが約4,650億円(現金+資産譲渡)、TSMCが約2,820億円(現金)を出資し、ソニーが支配株主になる。量産開始は2029年見込み。
  • 同じ8月11日、TSMCの取締役会は外国人株主向け配当の初のドル建て選択制(Q2配当1株NT$7)と、約294.4億ドルの設備投資枠承認も決議した。ドル建て配当は台湾市場の直接保有者向けで、ADS(米国預託株式)保有者が対象と確認できる記載はない。
  • JASMはTSMCが2021年に設立した子会社で、ソニーは少数株主(20%未満)として参画している。TSMCは2026年7月16日の決算説明会で、JASM第1工場のCMOSイメージセンサー向け成熟ノード増強と、日本を含む3nmファブ追加の世界計画に言及した。
  • 7月28日の熊本地震で、ソニーの既存拠点・熊本テクノロジーセンターは生産を停止。7月31日の第2報では『8月4日より段階的再開』『8月中旬に地震前水準へ復旧見込み』と発表されたが、8月11日時点でこれを更新する第3報は確認できていない。合志の新工場・JASM第2工場の建設スケジュールへの地震の影響についても、両社から言及した公式発表が見当たらない。
  • 8月11日の正式契約により、日本経済新聞が8月10日に報じた投資規模(約1兆円)・出資比率(ソニー約60%・TSMC約40%)・量産時期(2029年ごろ)はおおむね裏づけられた。ただし規制当局の承認や政府支援を前提とする留保も付いている。
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よくある質問(FAQ)

Q.合志のソニー新工場とTSMCのJASMは同じ工場ですか?+

別の工場です。合志市のソニー新工場はソニーグループが自社で建設しているイメージセンサー工場で、菊陽町のJASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)はTSMCが2021年に設立した子会社の工場です。運営主体も出資関係も異なる、熊本県内の別々の拠点として整理する必要があります。2026年5月8日のMOU(基本合意書)でこの2つの別拠点をつなぐ検討が始まり、8月11日には合志の新工場を舞台とする合弁会社の設立で正式契約が締結されました。

Q.5月8日のMOUと8月11日の正式契約はどう違うのですか?+

5月8日のMOU(法的拘束力のない基本合意書)は、ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCが次世代イメージセンサーの開発・生産で戦略的パートナーシップを検討することへの合意でした。JV(合弁会社)の設立自体はこれから検討する段階で、投資額・実施時期・出資比率はいずれも非公表でした。8月11日には、この検討が『Advanced Vision Semiconductor Manufacturing Corporation』という合弁会社の設立に関する法的拘束力のある正式契約(definitive agreement)へと進み、出資額・出資比率・量産開始時期(2029年)が確定しました。

Q.熊本地震で合志の新工場やJASM第2工場の建設は止まったのですか?+

止まったとも止まっていないとも、公式には確認できていません。ソニー・TSMCいずれの公式発表にも、合志の新工場やJASM第2工場の建設スケジュールに対する地震の影響を示す記述が見当たらないためです。これは『影響がなかった』ことの確認ではなく、8月11日時点で公式な言及そのものが存在しないという意味です。既存の生産拠点については復旧見通しが発表されています。

Q.ソニーはJASMにどう関わっていますか?+

ソニーセミコンダクタソリューションズは、JASM設立時(2021年)に少数株主として参画すると発表しており、出資比率は20%未満とされています。運営の主導権を握るのはTSMCで、ソニーは自社のイメージセンサー生産に必要な受託製造能力を安定的に確保する立場にとどまります。

Q.投資額1兆円・出資比率ソニー6割という報道は本当ですか?+

日本経済新聞が2026年8月10日に、合弁会社を2026年度内に設立し約1兆円を投資、出資比率はソニー側約60%・TSMC側約40%、2029年ごろ量産と報じました。翌8月11日、ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCは正式契約の締結を公式発表し、ソニーが約4,650億円(現金+資産譲渡)、TSMCが約2,820億円(現金)を出資すると明らかにしました。合計約7,470億円で報道の『約1兆円』よりは小さいものの同じ桁の規模で、出資比率(ソニー約62%・TSMC約38%)も報道の60%・40%とおおむね一致します。量産開始2029年という時期も報道と一致しました。

Q.フィジカルAIとは何ですか、なぜこの合弁に関係するのですか?+

フィジカルAIとは、カメラやセンサーで周囲の状況を読み取り、実世界で自ら判断・行動するAIのことです。自動車の自動運転やロボットの動作制御が代表例です。ソニーとTSMCは、このフィジカルAI用途の需要拡大を、次世代イメージセンサーの合弁を検討する動機の一つとして挙げています。

Q.ドル建て配当になると、海外投資家は何が変わりますか?+

台湾証券取引所にTSMC株を直接保有する海外投資家は、2026年8月11日の取締役会決議により、Q2配当(1株7新台湾ドル)から現金配当をドル建てで受け取る選択肢を得ました。従来は新台湾ドル建てで支払われ、投資家自身が円やドルへの換金と為替リスクを負う必要がありましたが、この事務負担が軽減されます。なお、この制度は台湾市場の直接保有者向けで、ニューヨーク証券取引所に上場するADS(米国預託株式、TSM)の保有者が対象に含まれるとは発表資料に記載がありません。

Q.ADSとは何ですか?ADRとの違いは?+

ADS(American Depositary Shares、米国預託株式)は、ADR(米国預託証券)という証書が表章する外国株式そのものの単位です。TSMCのADS(銘柄コードTSM)は預託銀行が新台湾ドル建ての配当をドルに換算して支払う仕組みのため、もともとドル建てで配当を受け取っています。8月11日に発表された『初のドル建て配当』は、台湾証券取引所に直接投資する海外株主向けの新制度であり、ADS保有者にとっての実務上の変化があるとは一次情報から確認できません。

用語集

イメージセンサ/ image sensor / CMOS
光を電気信号に変換して画像にする半導体。スマホやデジタルカメラの「目」にあたり、現在はCMOS型が主流。
ファウンドリ/ foundry
他社が設計した半導体を、受託して製造する工場。代表はTSMC。

参考資料・引用元

  1. ソニーGとTSMC、熊本工場に1兆円投資 次世代画像センサー29年量産報道
    日本経済新聞(2026-08-10)— 使用箇所: 合弁会社を2026年度内に設立・投資約1兆円規模・出資比率ソニー約60%/TSMC約40%・2029年ごろ量産と報道。8/10時点でソニーセミコンダクタソリューションズ・TSMCの公式リリースに対応する発表は存在せず(両社ニュースルームを同日確認済み)、すべて報道ベースの情報として帰属付きで引用すること
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC055VT0V00C26A8000000/
  2. ソニー熊本新工場に最大600億円補助 経済安保推進法に基づき経産省認定報道
    EE Times Japan(アイティメディア)(2026-04-17)— 使用箇所: 経済産業省は2026年4月17日、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(SCK)が熊本県合志市に建設中のイメージセンサー新工場に対し、経済安全保障推進法(特定重要物資に係る供給確保計画の認定)に基づき最大600億円を補助すると発表と報道。ロイター・時事通信・朝日新聞も同日同内容で報道(複数媒体一致)。経産省一次リリース本体(meti.go.jp)は本調査ではアクセス不可(HTTP 403)のため、この報道ベースの数値(最大600億円)のみを使用し、時事通信が報じた投資総額・供給開始時期・月産枚数は個別検証で裏取りできていないため使用しない
    https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2604/17/news121.html
  3. ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMC、次世代イメージセンサーの戦略的パートナーシップに関する基本合意書を締結一次情報
    ソニーセミコンダクタソリューションズ(公式)(2026-05-08)— 使用箇所: 法的拘束力を伴わない基本合意書(MOU)を締結し、熊本県合志市に新たに建設されたソニーの工場への、次世代イメージセンサーの開発・生産ラインの構築に向けた検討を進めると発表。動機として自動車・ロボティクスなどのフィジカルAI用途を挙げる。実施主体は新設予定のJV(合弁会社)で設立自体が検討段階であること、確定的な法的拘束力のある契約締結が前提であることを明記
    https://www.sony-semicon.com/ja/news/2026/2026050801.html
  4. Sony Semiconductor Solutions and TSMC Sign MOU for Next-Generation Image Sensor Strategic Partnership一次情報
    Sony Semiconductor Solutions(公式・英語版)(2026-05-08)— 使用箇所: 日本語版(sonyTsmcMouJa0508)の英語原文。'non-binding memorandum of understanding' と 'Sony's newly constructed fab in Koshi City, Kumamoto Prefecture' の逐語表現を確認するために使用。'newly constructed' から建屋は完成済みと読める点の根拠
    https://www.sony-semicon.com/en/news/2026/2026050801.html
  5. Sony Semiconductor Solutions and TSMC Entered Preliminary Agreement for Next-Generation Image Sensor Strategic Partnership一次情報
    TSMC(公式プレスリリース)(2026-05-08)— 使用箇所: TSMC側の同時発表(新竹発)。ソニー・TSMC双方でMOU内容が一致することを確認。第3段落『these investments, along with new capital investment by Sony in its existing plant in Nagasaki, are being considered on the premise that they would be implemented in phases based on market demand, and that they would receive support from the Japanese government』=JVの投資とソニー自身の長崎工場への新規投資は並列(別枠)で記載され、いずれも段階的実施・日本政府支援が前提。投資額・時期・TSMCの出資比率は本文に一切数値の記載なし
    https://pr.tsmc.com/english/news/3308
  6. ソニーセミコンダクタソリューションズ、熊本県における新会社設立および新工場建設に関するお知らせ一次情報
    ソニーセミコンダクタソリューションズ(公式)(2021-11-09)— 使用箇所: TSMCが子会社JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)を熊本県に設立し、SSSはJASMに少数株主として参画すると発表(英語版は'a less than 20% equity stake')。量産開始時点の位置づけは22/28nmプロセスを皮切りとしたスペシャルティ技術のファウンドリサービス。運営主体はTSMCであり、ソニーは生産キャパシティの安定確保を狙う出資者の立場にとどまる点の一次出典
    https://www.sony-semicon.com/ja/news/2021/2021110901.html
  7. JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing)会社情報・第1工場一次情報
    JASM(TSMC子会社)(2024)— 使用箇所: 熊本県菊陽町の第1工場・2024年量産開始・12/16nm及び22/28nm世代・ソニー/デンソー/トヨタ出資・月産約55,000枚(12インチ)
    https://www.jasm.tsmc.com/
  8. TSMC (2330.TW) Q2 2026 Earnings Call Transcript一次情報
    TSMC/LSEG(決算説明会 編集済み文字起こし)(2026-07-16)— 使用箇所: C.C. Wei会長兼CEOの逐語発言『We are increasing our mature node capacity through JASM Fab 1 in Japan, for CMOS Image Sensor application』および『We are executing well on our global plan to add three additional 3-nanometer fabs, one in Taiwan, one in Arizona, and one in Japan』。決算は7/28熊本地震の12日前で地震への言及は一切なし。トランスクリプト中に『Kumamoto』『Fab 2』『Fab 3』の語は不出現で、県名・投資額・着工日・稼働日の記載もない点に注意して引用すること
    https://investor.tsmc.com/english/encrypt/files/encrypt_file/reports/2026-07/547d1696765e05ce3adb81c108ce1c8c1682b80c/TSMC%202Q26%20Transcript.pdf
  9. 2026年7月28日発生の熊本県熊本地方を震源とした地震の影響について一次情報
    ソニーセミコンダクタソリューションズ(公式)(2026-07-29)— 使用箇所: ソニー公式:熊本テクノロジーセンターは地震発生直後から生産活動を停止し建屋・ファシリティの被害状況を確認中・長崎/大分/鹿児島は大きな被害なし・人的被害なし・再開時期の記載なし(29日付)
    https://www.sony-semicon.com/ja/info/2026/2026072901.html
  10. 令和8年熊本地震の影響について(第2報)一次情報
    ソニーセミコンダクタソリューションズ(公式)(2026-07-31)— 使用箇所: 公式第2報(31日付)逐語:「建屋および設備の安全確認と復旧作業を進めた結果、8月4日(火)より段階的に操業を再開する予定です。なお、8月中旬には地震発生前の稼働水準へ復旧する見込みです。」熊本テクノロジーセンター(菊陽町)が唯一の未再開組だった状態を解消。具体的な被害内容の記述はなし(推測で補わない)
    https://www.sony-semicon.com/ja/info/2026/2026073101.html
  11. Employees safe, Kumamoto fab structure unaffected by earthquake: TSMC報道
    Focus Taiwan(中央社)(2026-07-29)— 使用箇所: TSMC声明:全従業員の無事確認・構造検査完了で第1工場は無傷・操業は段階的に復旧中・設備の詳細点検と影響評価は継続・第2工場建設現場は被害なしだが余震考慮で一部工事を予防的中断
    https://focustaiwan.tw/business/202607290005
  12. TSMC日本法人公式Xアカウント投稿(JASM熊本第1工場の復旧・寄付表明)一次情報
    TSMC Japan(@TSMCinJapan・公式X)(2026-08-03)— 使用箇所: 8/3夜投稿。「現地の従業員ならびにサプライヤーの皆様のご尽力により、JASMの工場は早期に復旧することができました」として熊本第1工場が通常の生産体制に復帰したことを表明し、復興支援として2億5,000万円の寄付を発表。TSMC公式プレスセンター(pr.tsmc.com、tsmcPressCenter0805)には同内容のプレスリリースは掲載されておらず、公式Xでの発信という位置づけにとどまる
    https://x.com/TSMCinJapan
  13. TSMC、熊本工場の生産復旧 復興支援に2億5000万円寄付報道
    日本経済新聞(2026-08-03)— 使用箇所: 8/3 22:52配信。TSMC日本法人の公式X投稿(tsmcJapanXRestore0803)を受け、熊本第1工場(JASM)の生産復旧と2億5,000万円の復興支援寄付を報道。共同通信(8/3 22:47)・熊本日日新聞(8/3 21:55)も同内容を独立に報道している
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM039O70T00C26A8000000/
  14. TSMC confirms Kumamoto fab back to normal operations after quake報道
    フォーカス台湾(中央社=CNA日本語版)(2026-08-04)— 使用箇所: TSMC広報担当者への取材でJASM熊本第1工場の復旧を確認したと報道。TSMC日本法人の公式X発信(tsmcJapanXRestore0803)を裏付ける続報として位置づけられる
    https://japan.focustaiwan.tw/economy/202608040001
  15. Sony Semiconductor Solutions and TSMC Agreed to Establish Joint Venture for Next-Generation Image Sensors一次情報
    Sony Semiconductor Solutions(公式・英語版)(2026-08-11)— 使用箇所: 2026年8月11日、ソニーセミコンダクタソリューションズとTSMCが『the execution of a legally binding definitive agreement for the establishment of Advanced Vision Semiconductor Manufacturing Corporation as a joint venture...in Koshi City, Kumamoto Prefecture』と発表(法的拘束力のある確定合意=5月8日の非拘束MOUから前進)。出資額は『Sony plans to contribute approximately 465 billion yen to the JV through a combination of cash contributions and the transfer of its assets through a company split』『TSMC plans to make cash contributions of approximately 282 billion yen』、ソニーが支配株主(controlling shareholder)。量産開始は『The JV is expected to commence volume production in 2029』。合志新工場の既存施設を会社分割でJVへ譲渡する旨も記載。TSMC側の同時発表(tsmcAug2026BoardResolutions)の出資上限『not more than 282 billion Japanese yen』と一致
    https://www.sony-semicon.com/en/news/2026/2026081101.html
  16. TSMC Board of Directors Meeting Resolutions一次情報
    TSMC(公式プレスリリース・一次情報)(2026-08-11)— 使用箇所: 2026年8月11日の取締役会決議。①『Approved the distribution of a NT$7.0 per share cash dividend for the second quarter of 2026』、record date 2026-12-16・ex-dividend date 2026-12-10・支払日2027-01-07。②『TSMC will, starting with this dividend distribution, provide foreign shareholders who invest under the ‘Regulations Governing Investment in Securities by Overseas Compatriots and Foreign Nationals’ with the option to receive cash dividends in U.S. dollars』=台湾証券取引所に直接投資する海外株主向けの初のドル建て配当選択制。ADS(米国預託株式)については別途『The ex-dividend date and the record date...for TSMC American Depositary Shares (ADSs) will be December 10, 2026』とあるのみで、ADS保有者が今回の新制度の対象である旨の記載はない(ADSは従来から預託銀行経由でドル建て配当)。③『the Board approved capital appropriations of approximately US$29,442.50 million for purposes mainly including: 1) Installation and upgrade of advanced technology capacity; 2) Installation and upgrade of advanced packaging, mature and/or specialty technology capacity; 3) Fab construction, and installation of fab facility systems』。④ソニーセミコンダクタソリューションズとの次世代イメージセンサー合弁設立、出資上限2,820億円を承認(『not more than 282 billion Japanese yen』)。⑤2026年Q2実績(売上NT$1,270.38億・純利益NT$706.56億)の承認も同時記載
    https://pr.tsmc.com/english/news/3332

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