露光や成膜といった派手な工程の陰で、半導体作りを支えているのが「洗浄」です。チップは驚くほど何度も洗われます。その装置で世界一を握るのがSCREENです。半導体メーカーの全体像は「半導体メーカーは、6つの役割で見ると一気にわかる」で確認しつつ、この縁の下の主役を見ていきます。
チップは、回路を作る工程を何百回も繰り返して作ります。その合間に、毎回ウェハー(チップの土台の円盤)を洗ってゴミを取り除きます。たった一粒のゴミでもチップが不良になるからです。SCREENは、この『洗う』装置で世界トップ級。京都の印刷会社から始まり、いまや最先端チップに欠かせない会社になりました。
構造で言うと(投資家向け)も見る
SCREENは枚葉式ウェハ洗浄で世界トップ級。微細化でパーティクル許容が縮小し、洗浄の工程数・難度・付加価値が上がる構造的追い風。コータ/デベロッパ・熱処理も併営。競合は東京エレクトロン等。装置は顧客プロセスへの作り込みで乗り換え障壁が高い。リスクは半導体設備投資サイクルへの感応度と、先端での顧客集中。
SCREENとはどんな会社か
SCREENホールディングスとは、半導体製造装置を手がける京都発の日本企業です。1943年に創業しました。
意外なことに、その起源は印刷です。もとは印刷に使うガラススクリーン(網目状の版)の製造を手がけ、社名の「スクリーン」もそこに由来します(旧・大日本スクリーン製造)。印刷で培った精密なパターン形成や薬液処理の技術が、やがて半導体製造装置へと発展しました。なかでもウェハーの洗浄装置で、世界トップ級のシェアを握ります(SCREEN IR)。
なぜウェハーの洗浄が重要なのか
SCREENの価値を理解するには、半導体における洗浄の重要性を知る必要があります。半導体は、わずか一粒の微細なゴミ(パーティクル)が、回路の不良を引き起こします。
チップ作りは、・・などの工程を何百回も繰り返します。その一つ一つの合間に、毎回を洗浄し、汚れや削りかす、異物を取り除きます。もし洗い残しがあれば、それが次の工程に持ち込まれ、欠陥として回路に刻まれてしまいます。
微細化が進むほど、許容できるゴミの大きさは小さくなり、洗浄の精度が(良品率)を直接左右します。
枚葉式洗浄とは何か
SCREENの強みの中心が、枚葉式(まいようしき)洗浄です。枚葉式洗浄とは、ウェハーを1枚ずつ処理する洗浄方式です。
かつては、多数のウェハーをまとめて薬液に浸す「バッチ式」が主流でした。なぜなら、一度にたくさん洗えて効率的だからです。しかし微細化が進むと、まとめて洗うより、1枚ずつ条件を細かく制御して丁寧に洗う枚葉式の方が、精度を保ちやすくなりました。SCREENはこの枚葉式洗浄装置で世界トップ級のシェアを築いています。
洗浄は、使う薬液、流す順番、温度、時間など、装置メーカーごとに細かなノウハウが異なります。そのため、いったん顧客の製造ラインに採用されると、簡単には他社に乗り換えられません。これがSCREENの安定した地位の源泉です。
SCREENの強みと競争構造はどうか
SCREENの強みは、枚葉式ウェハー洗浄での高いシェアと、長年の技術蓄積にあります。洗浄に加え、塗布・現像を行うコータ・デベロッパや、熱処理装置も手がけ、複数の工程を押さえています。
競争相手は、洗浄装置も手がける「半導体装置で日本最大の東京エレクトロン」などです。総合力で広く攻める東京エレクトロンに対し、SCREENは洗浄という一点で深く強い、という棲み分けです。装置の世界では、こうした「工程ごとの専門企業」が役割を分け合っています。
AI向けの最先端チップは工程数が多く、洗浄の回数も増えます。さらに微細化が進むほど洗浄の難度と付加価値が上がるため、SCREENにとっては構造的な追い風です。一方でリスクは、半導体メーカーの設備投資サイクルに業績が左右されることと、最先端での顧客集中です。地味な工程ながら、最先端の歩留まりを支える急所として、その役割は静かに重みを増しています。
この記事のまとめ
- SCREENは京都発の半導体製造装置メーカーで、1943年創業。印刷用ガラススクリーンが起源。
- ウェハーを1枚ずつ洗う枚葉式洗浄装置で世界トップ級のシェアを握る。
- 半導体は一粒のゴミが致命傷になるため、工程の合間の洗浄が歩留まりを左右する。
- 微細化が進むほど許容できるゴミは小さくなり、洗浄の精度の重要性が増している。
- 競争相手は東京エレクトロンなど。AI向け最先端工程で洗浄需要が高まるのは追い風。
この記事のまとめ
- SCREENは京都発の半導体製造装置メーカーで、1943年創業。印刷用ガラススクリーンが起源。
- ウェハーを1枚ずつ洗う枚葉式洗浄装置で世界トップ級のシェアを握る。
- 半導体は一粒のゴミが致命傷になるため、工程の合間の洗浄が歩留まりを左右する。
- 微細化が進むほど許容できるゴミは小さくなり、洗浄の精度の重要性が増している。
- 競争相手は東京エレクトロンなど。AI向け最先端工程で洗浄需要が高まるのは追い風。
よくある質問(FAQ)
Q.SCREENとはどんな会社ですか?+
SCREENホールディングスは、半導体製造装置を手がける京都発の日本企業です。1943年創業で、もとは印刷用のガラススクリーン製造を起源とします。とくにウェハーを洗浄する装置で世界トップ級のシェアを握り、コータ・デベロッパ(塗布・現像装置)や熱処理装置も手がけます。
Q.なぜウェハーの洗浄が重要なのですか?+
半導体は、わずか一粒の微細なゴミ(パーティクル)が回路の不良を引き起こすためです。チップ作りは成膜・露光・エッチングなどの工程を何百回も繰り返しますが、その合間に毎回ウェハーを洗浄し、汚れや異物を取り除きます。微細化が進むほど、許容できるゴミの大きさは小さくなり、洗浄の精度が歩留まりを左右します。
Q.枚葉式洗浄とは何ですか?+
枚葉式洗浄とは、ウェハーを1枚ずつ処理する洗浄方式です。かつては多数のウェハーをまとめて液に浸すバッチ式が主流でしたが、微細化が進むと、1枚ずつ丁寧に洗う枚葉式の方が精度を保ちやすくなりました。SCREENはこの枚葉式洗浄装置で世界トップ級のシェアを握っています。
Q.SCREENの強みと競争相手は誰ですか?+
強みは、枚葉式ウェハー洗浄での高いシェアと、長年の技術蓄積です。洗浄は装置メーカーごとにノウハウが異なり、いったん採用されると変えにくい分野です。競争相手は、洗浄装置を手がける東京エレクトロンや、TOTOのセラミック部品ともつながる装置メーカー群です。AI向けの最先端工程で洗浄需要が高まる点は追い風です。
用語集
- ウェハー/ wafer
- 半導体を作る土台となる円盤状のシリコン。ここに多数のチップをまとめて作る。
- 歩留まり/ yield ヨミ:ぶどまり
- 1枚のウェハーから取れるチップのうち、欠陥のない良品の割合。
- 露光(リソグラフィ)/ lithography
- 回路の原版(マスク)を通して光を当て、回路パターンをチップに転写する工程。半導体製造の心臓部。
- 成膜(せいまく)・塗布/ deposition / coating
- ウェハー表面に、配線や絶縁体になる薄い膜を一様につける工程。液体を塗る『塗布』も含む。
- エッチング/ etching
- レジストに覆われていない部分の膜を、気体や薬液で削り取り、回路パターンを膜に刻む工程。
参考資料・引用元
- SCREENホールディングス 会社・事業情報一次情報SCREEN IR(2025)— 使用箇所: 枚葉式ウェハ洗浄装置で世界トップ級シェア・コータ/デベロッパ・熱処理・1943年創業(石田大成堂/大日本スクリーン)https://www.screen.co.jp/ir
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