ソニーが2026年6月に発表した新型CMOSイメージセンサ3機種で、スマホカメラの「解像度」と「明暗差への強さ」が一段上がります。CMOSイメージセンサとは、レンズから入った光を電気信号に変えて画像を作る撮像用の半導体です。ソニーセミコンダクタソリューションズは6月だけで、モバイル向けのLYTIA 610とLYTIA L910、検査向けのIMX711を相次いで発表しました。世界シェア首位のソニーが、どんな新技術を詰め込んだのかを読み解きます。

イメージセンサそのものの仕組みは「スマホのカメラは、光を“数えて”いた。CMOSイメージセンサの仕組み」で扱いました。本稿はその最前線、2026年6月の新製品ラッシュに踏み込みます。

ひとことで言うと(初心者向け)

スマホのカメラがきれいになるのは、中に入っている「光を数える半導体(イメージセンサ)」が進化しているからです。ソニーは2026年6月、新しい画素の仕組みを使ったセンサを3つ発表しました。1つは細かさ(解像度)を2割以上上げ、もう1つは明るい場所と暗い場所が混ざった景色でも白飛び・黒つぶれしにくくしています。スマホからX線検査の機械まで、ソニーの「目」が入る場所が広がっています。

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構造で言うと(投資家向け)

ソニーはCISで世界シェア首位。2026年6月のLYTIA 610(業界初RB2×2 OCL・解像度20%以上改善・4K120fps・6月末量産)とL910(LYTIA初LOFIC・100dB HDR・低消費電力)はハイエンドスマホ向けの差別化軸を更新する。LOFICによる広ダイナミックレンジと積層プロセスが参入障壁で、大口顧客への供給実績が効く。検査向けIMX711(X線対応・26,100fps)は産業・医療という非スマホ成長領域への布石。スマホ成熟下でも構造技術の世代交代を先頭で量産する強みを示す発表。

何が発表されたのか

2026年6月、ソニーセミコンダクタソリューションズはCMOSイメージセンサを3機種、立て続けに発表しました。発表が早い順に、6月9日のIMX711、6月17日のLYTIA L910、6月24日のLYTIA 610です。

LYTIA(リティア)は、ソニーのモバイル向けイメージセンサのブランドです。LYTIA 610は1/2型・約6,400万画素で、業界で初めて「RB2×2 OCL」という画素構造を採用し、4K/120fpsの動画にも対応します。2026年6月末に量産を始める予定です(ソニー)。LYTIA L910は約5,000万画素で、LYTIAブランドとして初めて「LOFIC」構造を採り入れた製品です(ソニー)。

3機種目のIMX711は、スマホではなく検査・計測に使うX線対応のセンサです。用途はまったく違いますが、いずれも「光(やX線)を電気信号に変えて画像にする」という点で同じ系譜にあります。

RB2×2 OCLとは何か

RB2×2 OCLとは、隣り合う複数の画素を1つのまとまりとして扱い、その上に載せるマイクロレンズ(画素ごとに光を集める極小のレンズ)の配置を工夫した画素構造です。LYTIA 610はこれを業界で初めて採用しました。

スマホ用のセンサは、画素を小さくして数を増やすほど、1画素あたりに届く光が減って画像が乱れやすくなります。そこで複数画素をまとめて光を集めつつ、必要なときは細かく読み分ける、という両取りの設計が重要になります。LYTIA 610はこの構造により、空間解像度(画像の細かさ)を従来比で20%以上改善したとしています(ソニー)。約6,400万画素という高画素と4K/120fpsの動画性能を、小さな1/2型サイズに収めた点が特徴です。

スマホのカメラが毎年きれいになる理由の多くは、こうした画素構造そのものの作り込みにあります。半導体は、気づかないだけで日常のあらゆる場面を支えています。

LOFICで何が変わるのか

LOFICとは、画素にあふれた電子を一時的にためる小さな容量を画素内に追加する構造です。LYTIA L910がLYTIAブランドで初めて採用しました。

通常の画素は、強い光が当たると電子がすぐ満杯になり、明るい部分が真っ白に飛んでしまいます(白飛び)。これに対しLOFICは、あふれたぶんを別の容量に逃がしてためておくため、より強い光まで階調を保てます。LYTIA L910は約5,000万画素で、100dBの広ダイナミックレンジ(明暗差への強さ)と低消費電力を両立しました(ソニー)。逆光のポートレートや、ネオンと暗がりが混ざる夜景のように、明暗差が激しい場面に強くなります。

ソニーがこうした構造技術を毎回先頭で量産化してきた歴史は「スマホカメラの4割がソニー製だった:CMOSイメージセンサで世界シェア43%を握った技術の核心」で詳しく扱っています。

X線センサは何に使うのか

3機種目のIMX711は、スマホとは用途が異なる検査・計測向けのCMOSイメージセンサです。X線を受けて画像にするタイプで、製品の内部や構造を壊さずに調べる「非破壊検査」などに使われます。

IMX711の強みは速度とノイズの低さです。業界最速となる最大毎秒26,100コマの撮影に対応し、ノイズも34 e-rms(イーアールエムエス、信号の乱れの少なさを表す単位)と低く抑えています(ソニー)。そのため、高速で動くものや、わずかな差を高速に見分けたい検査ラインで威力を発揮します。スマホ向けで磨いた撮像技術を、産業や医療といった別の市場へ広げる動きと言えます。

今後どうなるか

2026年6月の3連発は、ソニーがイメージセンサの構造技術を更新し続けていることを示しています。RB2×2 OCLで解像度を、LOFICでダイナミックレンジを、それぞれ一段引き上げました。

スマホ市場が成熟するなかで、ソニーの次の主戦場は車載・産業・医療です。自動運転支援が進むほど1台の車に載るカメラは増え、検査・計測でも高速・高精細なセンサの需要が高まります。光を数えるこの半導体は、撮る場所を広げながら進化を続けます。

この記事のまとめ

  • ソニーセミコンダクタソリューションズが2026年6月、モバイル向け2機種と検査向け1機種のCMOSイメージセンサを相次ぎ発表した。
  • LYTIA 610は業界初のRB2×2 OCL画素構造で空間解像度を従来比20%以上改善し、4K/120fpsに対応。2026年6月末に量産開始。
  • LYTIA L910はLYTIA初のLOFIC構造で、約5,000万画素・100dBの広ダイナミックレンジと低消費電力を両立した。
  • 検査向けのIMX711はX線対応で、業界最速の毎秒26,100コマ・低ノイズ34 e-rmsを実現した。
  • ソニーはイメージセンサで世界シェア首位。スマホからX線検査まで、用途の広がりが鮮明になっている。

この記事のまとめ

  • ソニーセミコンダクタソリューションズが2026年6月、モバイル向け2機種と検査向け1機種のCMOSイメージセンサを相次いで発表した。
  • LYTIA 610は業界初のRB2×2 OCL画素構造で空間解像度を従来比20%以上改善し、4K/120fpsに対応。2026年6月末に量産開始。
  • LYTIA L910はLYTIA初のLOFIC構造で、約5,000万画素・100dBの広ダイナミックレンジと低消費電力を両立した。
  • 検査向けのIMX711はX線対応で、業界最速の毎秒26,100コマ・低ノイズ34 e-rmsを実現した。
  • ソニーはイメージセンサで世界シェア首位。スマホからX線検査まで「光を数える」半導体の用途が広がっている。
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よくある質問(FAQ)

Q.ソニーは2026年6月にどんなセンサを発表しましたか?+

モバイル向けのLYTIA 610(6月24日発表)とLYTIA L910(6月17日発表)、検査・計測向けのX線対応CMOSであるIMX711(6月9日発表)の3機種を相次いで発表しました。いずれもソニーセミコンダクタソリューションズの製品で、CMOSイメージセンサ(光を電気信号に変える撮像用半導体)です。スマホからX線検査まで、用途の広がりを示す発表になりました。

Q.RB2×2 OCLとは何ですか?+

LYTIA 610が業界で初めて採用した画素構造です。隣り合う2×2の画素を1つのまとまりとして扱う設計を改良し、空間解像度を従来比で20%以上改善しました。LYTIA 610は1/2型・約6,400万画素で、4K/120fpsの動画にも対応します。2026年6月末に量産が始まる予定です。

Q.LOFICとは何ですか。何が良くなりますか?+

LOFICは、画素に光があふれたぶんを一時的にためる小さな容量を追加する構造です。LYTIA L910がLYTIAブランドで初採用し、約5,000万画素で100dBの広ダイナミックレンジ(明暗差への強さ)を実現しました。逆光や夜景のように明暗差が激しい場面でも、白飛びや黒つぶれを抑えつつ低消費電力で撮影できます。

用語集

参考資料・引用元

  1. Sony Semiconductor Solutions announces LYTIA 610 mobile CMOS image sensor一次情報
    Sony Semiconductor Solutions(2026-06-24)— 使用箇所: LYTIA 610(1/2型・約6,400万画素、業界初RB2×2 OCLで空間解像度20%以上改善、4K/120fps、2026年6月末量産開始)
    https://www.sony-semicon.com/en/news/2026/2026062401.html
  2. Sony Semiconductor Solutions LYTIA L910 (LOFIC) mobile CMOS image sensor一次情報
    Sony Semiconductor Solutions(2026-06-17)— 使用箇所: LYTIA L910(約5,000万画素、LYTIA初のLOFIC構造で100dBの広ダイナミックレンジと低消費電力を両立)
    https://www.sony-semicon.com/en/info/2026/2026061701.html
  3. Sony Semiconductor Solutions IMX711 X-ray CMOS image sensor一次情報
    Sony Semiconductor Solutions(2026-06-09)— 使用箇所: IMX711(検査・計測向けX線対応CMOS、業界最速の最大26,100fps、低ノイズ34 e-rms)
    https://www.sony-semicon.com/en/news/2026/2026060901.html

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